サッカーの三者関係の論文2[翻訳][解説]

サッカーの三者関係の論文1から引き続き
 Three People Can Synchronize as Coupled Oscillators during Sports Activities 

の訳をしていきます。


資料と方法

位相平面上の3つの同期パターンを予測

 対称性Hopf分岐理論は、例として3や4からなる振動子システムの同期パターンを作成することができます[13] 。この理論による分析は、幾何学的な対称性ではなく、動的システムや結合振動子の本質的な性質を必要とします。つまり、この理論はN個からなる、同一の振動子であり環状で対称性をもち同一の結合という条件考える。たとえば、3つの同一の振動子からなるネットワークは "三角形"の形に結合されている。この対称性の形成は、システム内の時空間パターンにつながる空間的および時間的な対称性の2つの異なるタイプもつことができます。言い換えると、システムでつくられた振動パターンは、システムの空間的な対称性からつくることができます。これらのパターンの異なる等方部分群Dn×S1に対応 。2面体群Dn は正n角形の対称性です。5つのパターンは、本研究で扱う3結合振動子の対称Hopf分岐理論から予測されている(図2 )。 

  1. 最初のパターンはすべての3つの振動子が同じ波形ですべてが同位相であり同じ位相で動く。それは完全に空間と時間の両方の対称性を保持しています。
  2. 2番目のパターンはすべての振動子が同一の波形を持っている回転パターンであり2π/3(120度)ずつずれる  。
  3. 3番目のパターンは振動子の2つが同一の波形を持っていて部分的に異なった位相、位相のずれは、π(180度)である。また、3番目の振動子は、他の二つの異なった波形と倍の周波数を持っています。
  4. 4番目のパターンは、振動子の二つの動作は同じで部分的に異なる位相(すなわち、それらは同じ波形を持ってい同じように移動)パターンがあります。そして、3つ目の振動子が異なる波形を有する。
  5. 5番目のパターンは、すべての3つの振動子が異なる波形を持っているパターンである。この最後のパターンは、ほとんどが非対称です。この結果は同一の結合振動子システムで対称性破れによっておきる。


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図2. 対称性Hopf分岐論から3結合振動子の環状の場合の5パターンを予想した。

サークル内の数字は、波形の数を示します。二重丸は、対応する発振器が倍の周波数を持っていることを示しています。2つの振動子間の関係は次のように示されています
​​=:同位相
→:2π/3(120度)位相ずれ
↔:逆位相



 回転、部分的同位相や部分的逆位相は粘菌の三結合の生物学的振動子で発見されている。[21] 。私たちは三者の結合振動子にも、これらのパターンを示すであろうと想定しています。図3は、これらの3つの同期パターンの簡略化したモデルを示しています。図3A、3C、及び3Fに、3人のボール保持者の各ペアの間にできる角度の振動の時間的変化を示す。 図1 、これら三つの角度振動は下図のように3次元(3-D)空間での軌跡としてプロットされる。;図3B、3D、および3G
 よって、3つの角の和 は常にπ(180度)であり、これらの軌道は2次元(2-D)平面上に描画することができます。位相平面上の各頂点に、ある振動子がπ(180度)の角度を有する場合を表し、他の2つの振動子は、0度です。この2次元の位相面(+)の中心はすべての3つの振動子が同様に持っている場合を表します。この位相平面は、幾何学的な軌跡として3つの振動子間の関係​​を表現することができます。つまりこのシステムの動作はアトラクタである。これで、視覚的に実験データと予測パターンを比較することができます。

g003 クリックで拡大 

図3. 3つの結合振動子によってできる環状の3対1のボール所持タスクの三つの同期パターンは対称性Hopf分岐理論による予測。

(A、C、F)は角度の時間変化。(B、D、G、E、H)は位相平面上での軌跡。(B)、(D)、及び(G)は(A)、(C)、及び(F)のそれぞれの位相平面を示しています。 (+)は3つの振動子すべてが、π/3(60度)であることを示してる。(A、B)は位相差2π/3(120度)を維持しながら、すべての3つの振動子が同期的な回転パターン(R)をすることを示す  。(CE)は、2つの発振器が部分的逆位相パターン(PA)で同期してその他は一定である。PA1は、一定の値π/3(60度)よりも小さい場合を示しています。 そして、PA2の値は、π/3(60度)より大きいことを示しています 。
(FH)は2振動子が同相で同期して、その他は、逆位相で同期している部分的逆位相パターン(PI)である。 PI1とPI2は60度より大きい場合の2同相振動子とその他が60度より小さい場合である。またその逆も同様である。 

 図3Aおよび図3Bは、すべての3つの振動子がある一定の位相差で同期的な回転 ​​パターンを示す 。このパターンは、位相平面を中心に円形の軌道をとる(θ1=θ2=θ3=π/3(60度))。すべての振動子の振幅は円の半径と一致する(ビデオS1 )。図3C-Eはの部分的逆位相パターンを示しています。他の半分の振幅の振動があり、2つの振動子は、逆相で同期しています。この興味深い機能は、粘菌で報告されている[21] 。本研究では、半周期の特徴を仮定せず、ある振動子を時系列の定数として扱い(ビデオS2 )。この方法は、すべての振動子の振幅の合計がπ(180度)であることによるものです。対称性Hopf分岐理論からなる、部分的逆位相パターンの条件は、 "振動子の2つが同一の波形を持っている”いてかつ、”振動子が互いに同相ではない"ということだった[13] 。したがって 同一の波形でなく他の二つの振動子は一定。このパターンは、ベローゾフ・ジャボチンスキー(BZ)反応などの化学振動子系においては"死反位相(death anti-phase pattern)パターン"と呼ばれている。[24] 図3Dでは、一定の振動子は、θ1、θ2 と、θ3 の順に切り替えたことを示す 。たとえば、フェーズ(1)、 θ2とθ3が逆位相でありθ1がπ/3(60度)で一定であった 。位相平面上の軌道は、縁に平行移動すると、それに対応する振幅と中心を通過した。相なしでπ/3(60度)一定 の振動子の場合、軌道は位相平面の端に平行であるが、その値に対応するように上に移動したりと下がったりします。 PA1は一定値π/3よりも小さい場合は、 一方、 PA2はつまり、値がπ/3より大きい場合で図3E 。

図3F-Hは、 2振動子は、他の発振位相で同期している場合、部分的同位相のパターンを示しています。このパターンでは、2つの振動子は、同じ波形を持っていて同相である。例えば、phase(1)の場合は、それを示しています。 と同相である。3つの振動子の全振幅がπであるので、他の発振器は、倍の振幅で逆位相に同期しています。このパターンでは、位相平面上では位相軌跡は並行で垂直である。さらに、すべての軌道は位相平面の中心を通る必要はありません。 PI1とPI2二つに同相の振動子のいずれかがπ/3(60度)より大きいである例を示しそしてもう一つは、π/3(60度)より小さい ( 図3H )。

π/3は120度、π/3は60度、と訳内に追記しました。
angle:角度、rotation:回転、partial in-phase:部分的同位相、patial anti-pahse:部分的逆位相

本当はもっと早く訳と解説できると思ってたけど、in which多いので意外と面倒でした。

解説
3対1(トリカゴ)でボールを保持している3人がどのような動きのパターンが出来るかを、対称性ホップ分岐論を用いて予想してみると下の図のような5つのパターンができた。
 g002
  1. この図の一番上のを考えると動かない場合が考えられる。
  2. 次に図の左のRを考えると、動画(リンク)のようになる。
  3. 図の真ん中のPIを考えると、GIFアニメ(リンク
  4. 図の右側の、PAは動画(リンク)のようになる。
  5. 図の一番下の1~4以外で動きに対称性が見られない。
一つの振動子を固定して考えているので、実際の動きとは動きの感じが違うように思う。

動画の内容として、
図の中の記号は次のような意味をしている。
​​=:同位相
→:2π/3(120度)位相ずれ
↔:逆位相
 
次に上の図の5つのパターンについてトリカゴではどんな動きかを考えてみる。
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