見方が変わるサッカーサイエンスを読んで

サッカーに関するバイオメカニクスの本で10年ぐらい前の本です。

今売っているかどうかはしりません。以前紹介したファンタジスタの科学の著者との共著書です。

本から気になったところを抜粋し、いろいろ考えてみようと思います。

目次

①シュートの秘密
インパクトの基礎方程式
ドラッグクライシス

カーブ
マグナス効果とニュートンの作用と反作用
 
②ボールコントロール
ドリブル
素早い加速
パスワーク
状況判断

ゴールキーパー

ストイコビッチのキック
キック動作の解析
日本人のキック 



①シュート

キック力 
11ページ
2001年8月14日のインテル対レアルマドリッド戦において、アドリアーノが放った直接フリーキックは、時速125キロを超すボールスピードだったと言われている。

時速125キロぐらいが速いキックなんだろう。

子供のキック動作
後藤幸弘によれば四つのステージに分類できる。
第一ステージ 歩行からの振り出し
第二ステージ 立ち止まってバックスイング
第三ステージ 助走が加わる
第四ステージ よりダイナミックに
ということらしい。

P18から
ボールのインパクトの方程式
運動量保存則と反発係数
MV0+mv0=MV1+mv1
e=-vb/va eは反発係数
v0=0 v0は初期速度
v1=v0+(M/m+M))(1+e)
v1=(M/(m+M))(1+e)V0

意外と難しそうに見えますが、反発係数と物体の衝突で計算しようとしているだけだったり。
高校の物理でやるような計算です。

キック力を上げるには蹴り足の速さを速くすると書いてあります。
そして足のふりを速くするにはムチの動きで加速する。
「鞭の運動、から竿の働き、キネマティックリンク」

はじめに大きく重い筋群を、小さい速度で動かして大きなエネルギーを発生させ、順次、小さい筋群を大きな速度で動かしていく。
上体の筋肉から動かし始めてそれを足に伝えたて早く足を振るという考えがあります。


速度が速くなるということがわかるだけですけどね。


足首は固定したほうがいい
足首を伸ばして固定する。

足首を伸ばすようにして固定するとキック力が上がるという内容です。

まとめて、私の考えもたすと

  1. 鞭のように動かして加速する。
  2. 伸ばすように足を固定
  3. 硬い所(足の甲)で蹴る
  4. 助走で加速
  5. バランスを崩さない
と強く蹴れると思います。


ボールの弾性力をどのようにすればあまり考えないですむかなどの考え方のように思います。

渋川侃二の比較
1.膝・足関節とも固定
2.膝関節自由・足関節固定
が条件とされた組み合わせが最も大きなボール速度を示す。
硬さ 靴紐の結び目付近の足根骨、中足骨付近

ただし、パスされたボールをワンタッチで正確に蹴るに足の力を抜いて蹴るとボールに回転がかかりにくいと思います。
固い所でけったほうがいいという意味で、 足根骨、中足骨付近 でけると強く蹴れるということです。いわゆる足の甲ですね。


重い足のほうが有利?
蹴り足の重量を増加すると蹴り足の速度は低下する。
ボール速度に与える影響は少ないと考える。

重い足だとスピードは落ちにくいが足が加速しにくくなるということです。ただし、どのくらい影響があるのかはわかりにくい。重い足というのは筋肉がついて重くなった足という意味です。


カーブ
インフロントカーブキックではボールの中心より右側、アウトフロントキックのではボールの中心よりやや左側をインパクトしている。
これについて疑問に思う、単純に中心よりずれたところを蹴るとボールに回転はかかるけれど、キック力が著しく落ちるように思います。 私としては、当てるところをずらすよりも蹴り方を変えるようにしています。
いわゆる巻き蹴りで、軸足を中心として蹴り足を回すように蹴る。

  


マグナス効果とニュートンの作用と反作用
カーブが曲がる理論については省略

ボールコントロール 
速いボールを止める仕組み

バランスボールと呼ばれるおもちゃ(いくつか並んだボールのうち、端のボールがカチカチと当たって行ったり来たりするおもちゃ)に見ることができる。
衝突したボールのエネルギーが、そのまま反対側のボールに伝わって運動するものであり、運動量保存則をしすいい例といえる。

インパクトする足をボールと同じ重さにできるなら、エネルギーはすべて足に移行し、ボールのスピードは時速0キロになる。
インパクトの瞬間に換算質量を変えることは可能であり、この換算質量を小さくすることが重要となる。 
ボールコントロールについては足をリラックスすると、止まるというのはわかっていたようです。
ただし、この本やこの論文自体もあまり広まっていなかったなと思います。

やり方については⇒ボールコントロール(クリック)

ドリブル
全力疾走時、ドリブル時、および一対一を比較している。
ボールがないときよりあるときのほうが足が屈曲している。
ボールがある時より、1対1の時のほうが屈曲している。

ドリブルはトラップの連続であると思っていますので、ドリブル時にボールを触っている方の足が曲がるのはリラックスした足がボールによって曲げられると思っています。
 加速時に足を曲げるのは、曲げないと伸ばす力を発揮できないからだと思います。また1対1の時に後ろの足が大きく曲がるのは、一気に加速して抜き去る必要があるから。
 伸ばした状態からさらに伸ばすのは物理的に無理なのでその加速のために曲げてから伸ばす必要があると思っています。。

素早い加速
については省略

パスワークと状況判断
初級者と上級者では見ているところや視点の移動に違いがある。
上級者のほうが初級者よりはっきりと決まった傾向を示す。
これは戦術部分なのか、個人の判断なのかがわかりにくいし内容が書いてない。

ゴールキーパー
ゴールキーパーの死角
2.1mの距離で高さごとのセービング時間
0m  0.96秒
0.95m  0.87秒
1.9m  0.92秒
ゴロ>上隅>腰の高さ
の順にキーパーは取りにくいということ。シュートの参考にどうぞ。

この他に

ストイコビッチのキック
グラフがあるのだけれどこれをどう理解するかによって見解が変わりますが。
私の見た感じでは、ストイコビッチのインサイドキックはインフロントキックのように蹴っていると思います。

インサイドは足のくるぶし側で蹴れと教えられたが私の場合は無理だったので親指の付け根あたりで蹴っているとこうなると思います。つまりパター型の蹴り方をやめるとこうなる。

ここで比較している日本人の蹴り方はほとんど足の力で蹴っている(パター型)、たぶん今はこういう蹴り方をしている人は少ないと思います。
ストイコビッチの蹴り方は鞭の動きで蹴っていて力が伝わっていると思います。

ここでパター型は足をボールに対して垂直に当てるように蹴ることとしています。
より精確に
日本人選手のように回転の中心が股関節にある場合、その部分を前方に押し出すには体ごと前方に進まなければならない。サッカーの教科書をいくつか読んでみると、「目標に対しまっすぐ助走する」「体全体の勢いを利用して蹴る」「蹴り足はそのままダッシュの一歩目になる」などの記述を見つけることができる。

これに対してストイコビッチ選手のキックでは、回転の中心は膝にあるのでその動きをコントロールすることはより簡単で、より繊細なコントロールが行えるのである。付け加えるならば、インサイドキックをけった直後に移動する方向は必ずしも前方とは限らない。 
ストイコビッチ選手本人は、自分のプレースタイルの大きな特徴として、相手にプレーを読ませない点を強調している。本人いわく、周りの状況によってキックの種類を切り替えることが可能なのである。
ドイツ人コーチ、クラマー氏によって我が国にもたらされたインサイドキック・・・・
氏のインサイドキックに注目していたのだが、それは予想通り日本の教科書に書いてあるインサイドキックそのもので、彼が我が国のインサイドキックのしそであることを如実に物語っていた。
キックの終盤で日本人選手は股関節を外向きにひねるパワーが優勢となっている。したがって蹴り脚は、股関節を中心とした回転運動をしながらボールにインパクトすると考えてもいいだろう。ところが回転運動だけで通常よりも後方にあるボールを捉えようとするならば、スイングの最下点、つまり蹴り足が地面と垂直になる時点の手前でボールを捉えなければならないことになる。そのように腰の高さを調節すると、今度はボールを蹴ったあと、地面も蹴ってしまうことになるのである。

ストイコビッチ選手のように軸足の後方にボールを置くと、正しくボールを蹴り出せ無いどころかボールを蹴ったあと、地面を蹴ってしまう恐れもある。地面との衝突を回避する方法は二つインサイドキックを使わないか、回転の中心を上に引き上げるか、である。ところが日本人選手は回転の中心が腰にあるのでそれを引き上げるには軸足を伸ばし、上に伸び上がるように蹴るしか手はなさそうである。

 一方、ストイコビッチ選手ではキックの終盤で膝を伸ばすパワーが優勢となっている。つまり回転の中心が膝にあると考えていいだろう。したがってタイミングよく膝関節を上に引き上げることに寄って、脚はめでたく地面との衝突を回避できることになる。


動画で見ると確かにインサイドで蹴るときに膝が上がっている、いや腰ごと膝が上がっているようにも見える。
ストイコビッチ選手の蹴り方
  • 軸足より後方にボールを置く
  • 膝を中心とした回転
  • 蹴る方向を読ませない


クラマー氏のインサイドキックが悪いと言うよりも広まりすぎたのが原因として読まれやすくなったんだと思います。

 伸張反射というのが出てくるのがたまにあるのですが、あれは単純なバネ力に名前をつけただけのように思う。例えば下敷きを曲げると戻ろうとする、つまり力が溜まっている。
 デコピンのように、伸ばす力を縮める力で抑えていると強い力が出る。これは単純にバネのように蓄積された力だと考えるとわかりやすい。
 なので伸張反射という理屈を考えなくても説明できるのなら必要ないと思います。

キックの時にふりあげてから振り下ろすことによって脚にバネ力が蓄積されると考えています。下敷きを仰ぐようにすると、曲がり、止めると曲がったのが元に戻る。このようにキックには力が蓄積されている。